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NPO法人 縄文柴犬研究センター

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              キューの行動観察ノートU        キュー  石川県
 キューは動くものに敏感に反応します。道路を散歩していても、走る人や自転車、バイク、車が横を過ぎるとそれに追おうとするので、リードをしっかり握っていなければなりません。森で動くものを見つけると追い駆けます。その行動転換は素早く、相手が自分より大きな動物でも何であれ、凄いスピードで走ります。
木をかじることが大好きです。立ち木をかじったことはないのですが、落ちた枝、枯れ枝をくわえて走り、それをかじります。家の中でも木製品を見つけると、何でもかまわずかじります。私の部屋の椅子や居間のテーブルの脚をかじるので、カミさんはいつも怒っています。私の大切にしていた飾り物や彫刻が無残にも木くずにされました。固い木でもかじり割ります。凄い顎の力です。そのため、山でクロモジの枝を取ってきて、10センチくらいに小切したものを遊び用に与えています。キューがそれを噛んで遊ぶと、狭い私の部屋はクロモジのいい香りに包まれます。
 私とキューでは視点の高さが違うので、森で私が獣を見つけてもキューには草で隠れて見えないようです。以前にキツネに出会った時も、キューが動かなかったのはそのせいだと思います。でも視力が弱いのではなく、100mほど離れたところで動いた猟犬を見つけて瞬時に追い駆けました。梅雨時にはホタルが舞うのですが、キューには見えないようです。空中を漂って光っているホタルにも、何かに止まって動かずに点滅しているホタルにも反応しません。しかし、鼻先をすれ違って点滅するホタルや、地面を動いて光るホタルには反応しました。これは光を感じたのではなく、羽音や臭いで感じているのだろうと思います。
 臭覚は鋭く、散歩中に前足を激しく動かして土を掘り返し、野ネズミを捕まえました。臭いで探し当てたようです。聴覚も素晴らしく、ボール遊びが大好きなのですが、私が投げる前に走り出し、見事にくわえて戻ってきます。目で追うのでなく、音と臭いで見つけるようです。ボールをくわえて戻ってくるのですが、私に見せるとくわえたまま走り去ります。私とじゃれっこを楽しんでいるようです。くわえた途中に何かを見つけると、ボールを口から離してそちらに夢中になり、結局ボールを見失います。そのボールは何日か、数か月かあとに偶然見つけ、勇んでくわえて私に見せにやってきます。
 朝の散歩の後の食事は、刻んだ野菜に鶏レバーと干雑魚を水煮したものに、ご飯と少しのドッグフード、ジャーキーを混ぜ、水を加えたものを与えています。おやつは夜の散歩の後に、チーズとジャーキー、パンです。お肉は与えたことがありません。この食事は秋田犬の食事と量が違うだけで内容は同じです。
 キューは何でも食べます。木はかじるだけでなく、噛み砕いて食べてしまいます。動くものがあると鼻を近づけて嗅いで探し、口にくわえます。森の散歩で見つけて食べるのは、タケノコ、クルミ、草です。タケノコは大好きで柔らかい芯の部分を生のまま食べます。クルミは殻をカチャカチャと音を立てて噛んで遊びますが、固くて噛み砕けません。草はイネ科の細い葉が好きです。中でも伸び盛りのカゼグサの柔らかい葉はよく噛みつきます。草をたくさん噛んで飲み込むと、数分後に胃液や唾液の混ざった白い泡だった粘液状にして吐き戻します。イネ科の草を食べることには、どうも消化や解毒的な作用があるようです。昆虫も食べます。トンボやセミやバッタをくわえて食べます。セミは草むらにバタバタしているのを見つけると、ジージーと鳴いているのをそのまま食べてしまいます。カエルは追い駆けて遊びますが、くわえません。でも、車にひかれて干されたカエルのミイラは食べました。
 鳥獣類には敏感に反応し、追いかけます。これまでに野ネズミ以外で追い駆けたのはカモシカ、タヌキ、カモ、キジ、カラス、スズメ、セキレイなどです。でもまだくわえて捕まえたことはありません。ヘビやカメは追い回します。ミョウガの叢から出てきた猛毒のヤマカガシに向かっていきました。カメはくわえて振り回すので、かわいそうなくらいです。
キューは私の勤務日の日中はハウスの中におり、人や犬との接点は弱く、人や犬に会うと私の後ろに回るくらいです。慣れてくると鼻を近づけるのですが、社交性はあまりないです。でも人様に唸って吠えたり、噛みついたりしたことはありません。小さい頃は近所の道路を散歩していたので、出会う犬連れの方とよく挨拶をかわし、「かわいい犬ですね、なんという犬種ですか?」などと言われて、キューは尻尾を振っていたのですが、人の通らない森をリードを外して散歩するようになってからは、自由犬として気ままな犬になりました。カミさんには甘えて、家に入っておやつをもらうときにはしっぽを振り、前足を動かしてワンワン吠えます。       

 当初、縄文柴犬の特徴に無知な私は、私の介護の仕事にも役立つセラピー犬にしたいと思っていたのですが、キューは室内で飼う家犬には似合わず、自由と自然が大好きなのです。その自然の中で耳を立て、前方遠くを見、白くすっきりした脚で四肢立ちした姿態は、胸が張り、胴がくびれ、巻尾が動かず、りりしい日本犬の風貌です。キューを見ていると、犬バカな私ですが、本当にいい犬をいただいたなと感謝の気持ちでいっぱいです。さて、雌犬のキューに出産を体験させたいと思っているのですが、どうなりますやら。   
2011.7.7生

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